パーキンソン病と鍼治療

パーキンソン病では、振戦(小刻みに震える)、筋強剛(関節がを動かすとかくかくとした抵抗がある)、歩行障害など様々な症状によりQOLの低下を招き、屋内で過ごす事が多くなると意欲の低下などにも繋がってきます。

鍼治療はパーキンソン病の方をどのようにサポートできるでしょうか。明治国際医療大学の報告から少しご紹介いたします。

パーキンソン病に対する鍼治療は、振戦、筋強剛や前傾姿勢などの改善、歩行バランス、歩行力の増加、歩幅や歩行速度の上昇などへの効果がみられます。これは、鍼治療により 過剰な筋肉の緊張状態がやわらぎ、筋肉の機能が回復し 下半身(足)の動きや前傾姿勢を改善するからだと考えられます。 又、首肩の鍼治療により、歩行時の腕の振りも良くなり、歩行機能の改善に寄与するものと考えられます。ただし、サルコペニア(加齢性筋肉減弱症=年齢により筋肉量が減少し、筋力低下や身体機能が低下している)がみられる場合はこういった鍼治療に運動療法を併用する事が望ましいとされます。

1つの症例として、84歳のパーキンソン病で歩行困難の男性に鍼治療と運動療法を6週間で12回併用して実施したケースでは、治療経過10週から転倒がなくなり、11週から杖を使わなくても歩けるようになったという報告があります。鍼治療で筋血流量の増加や筋緊張が軽減され、運動療法で柔軟性や筋力向上がなされた効果であったと考えられます。

このように、鍼治療(サルコペニアがある場合は鍼治療と運動療法の併用)はパーキンソン病の方のQOLを改善する一つの手段であるといえます。QOLが向上する事で意欲の向上や気持ちの負担軽減にも繋がると良いと思います。

参考資料:日本抗加齢学会雑誌

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP